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「今日のワン」(79)

2022年5月8日「今日のワン」メッセージ


   「いのちの声」


「おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないためかかりませ

ん・・・」。

携帯電話を利用しているとよく耳にするこの声の主は、プロテスタントのクリスチャンでもあり、「音の匠」の受賞も受けたナレーター中村啓子さん。留守番電話メッセージや時報、エスカレーターなど私たちの生活に馴染みのあるあの声。小さい頃に友達から「啓子ちゃんの声はとてもキレイな声をしているね」と言われ、その後、アナウンサー、CM、ナレーターとして今もドラマや様々な朗読会や講演会などで活躍している。天から与えられた自分の声を生かした仕事に就いて間もない頃、中村さんは癌を患い、そのことが自分の生き方について深く考える機会となり、教会へと導かれ、洗礼を受けた。受洗後は、イエスさまの愛を自分の声を通して人々に伝えていきたいと志し、中村さんのナレーションを吹き込んだ絵本や物語の朗読CDを手に取って希望の光を見い出していった少年院の子どもたちや病める人たちも少なくない。

その多くの出会いの中で強く印象に残っている思い出の人として、28歳で末期がん患者だった南湖紫圭美(なんごしげみ)さんという女性がいた。彼女はその頃余命半年という宣告を受けていたが、そのCDから聴こえてくる中村さんの声の美しさに魅了された一人だった。南湖さんは中村さんとの出会いをきっかけに洗礼を受け、2年後の30歳という若さで安らかに天に召されたが、病に倒れる前は歯科衛生士という仕事の傍ら有名な絵本作家でもあった。中村さんは、生前その南湖さんが書いた絵本にナレーションを吹き込み、二人で神さまの愛を伝えていくことを約束していた。闘病中ということもあって、その約束は果たせなかったが、南湖さんの亡き後、お兄さんがその絵本を送ってくれたことでその約束が叶った。その絵本のタイトルが、「うみのねがい」という絵本。販売されていない南湖さんの遺作。

    

    「うみのねがい」  作 なんごしげみ

ちいさな さかなは うらやましかった

おおきいって いいな

こんど うまれてくるときは おおきくて りっぱな さかなになりたい

あ~っ! ねがいどおり ちいさな さかなは まんぼうに なった

まんぼうは ゆううつ だった

(サメ:「あいかわらず ぶさいくだな おまけにのろまだ」)

サメにあうと むねのへんが つめたくなる

まんぼうは ひそかに ねがった

こんど うまれてくるときは サメより もっと もっとおおきな ・・・、わぁ~!

そうして まんぼうは くじらに なった

くじらは ふあん だった

このごろ うみの ようすが おかしい

さんごも しにかけている

そんな あるひ 

あっ・・・あぶらだ!! た、たいへんだ!!

でも くじらには どうすることも できない

う~ん どうしよう

くじらは じっと あぶらを みつめた

そうか! これならできるかもしれない

くじらは ものすごいいきおいで あぶらを のみこみはじめた

なんども はきそうに なりながら のみつづけた

これで・・・さいごだ・・・くじらは やっとのことで のみこむと

ほっと めを とじた もう ちからは のこっていなかった

ふかく うみのそこへ しずみながら くじらは ねがった

こんど うまれるときは・・・そうして くじらは うみになった

ねがいどおり とてもきれいな うみだった


今日のみことば:「わたしの羊はわたしの声を聞き分ける。わたしはわたしの羊に永遠の

命を与える」(ヨハネ10・27)

















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