2022年7月2日「今日のワン」メッセージ
「Voice(声)」

「羊はわたしの声を聞き分け、わたしも
その羊を知り、羊はわたしに従う」。
アメリカの最高裁で「中絶権は違憲」とする判決がなされ、半世紀ぶりに合憲とされていた判決を覆した。それに伴い、今回の判決をめぐって賛成派と反対派の対立が激しさを増している。鹿児島教区報7月号では、中野司教が「いのちの福音」と題して、Pro Life とPro Choice
について述べているとおり、命を守るための生きる権利と命を選ぶ権利を支持する者との間での対立と言える。昨年末、イギリスのラインファーマ製薬会社は、自社が製造した人工妊娠経口中絶薬(ミフェプリストン)を厚生労働省に製造販売の申請をしており、この申請許可が下りれば、国内初の中絶薬販売が期待されているという。この中絶薬は、妊娠初期の9週目の胎児に有効とされている薬。WHO(世界保健機関)は体の負担が少ないとして、この中絶薬を推奨しており、世界では80か国以上で承認されていると言われている。中絶が合法化されている日本において、この飲み薬が薬局で販売され、手軽に服用できるとなれば、命の尊厳の損失とモラルの低下、そして様々な方法で悪用されることも考えられる。現在、この中絶薬承認に反対するプロジェクトの活動を行っている「Voice」(胎児の命を守る支援団体)が、署名活動を実施している。予期しない妊娠や望まない妊娠をした女性の苦しみに寄り添い、支えながら、
中絶というアクセスではなく、命の生きる権利を大切にしながら女性たちをサポートしていく活動を行っている。この中絶薬に反対する活動に、日本カトリック医師会も賛同を表明している。今回、鹿児島教区もカトリック医師会の意見を求め、この署名活動の取り組みに協力していくことになった。大切な命を守り、共に歩む社会環境づくり、法制度を築いていくために協力できる、「いのちの福音」を広める活動である。
今日のみことば:「新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ」(マタイ9・17)
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