2022年5月18日「今日のワン」メッセージ
「マリウポリ」

黒海の北アゾフ海に面する湾港都市であるマリウポリ。昨夜のニュースで事実上陥落したという報道があった。このマリウポリはアゾフ海でのチョウザメ漁が盛んというから、キャビア生産量が豊かな街なのだろう。18世紀、ロシアの女帝
エカテリーナ2世はこの北岸に美しい街を築き、この地を「マリウポリ(マリアの街)」と名付けた。このマリウポリは報道にあるように「アゾフの鉄」を意味する「アゾフスターリ」という巨大製鉄所があるウクライナ有数の工業都市でもある。冷戦下、ソ連は核攻撃に備えて、この地に地下施設(シェルター)を整備し、地下深くに迷路ようなトンネル回廊を結び、数万人の人々が収容できる要塞都市を築いた。ロシア侵攻開始からこれまで82日もの間、太陽の光が当たらないシェルターの暗闇の中で息を潜めて避難していたマリアポリの民間人と兵士たち。製鉄所は黒煙に覆われ、花火のような焼夷弾が降り注ぎ、地獄絵図と化したマリウポリの街。
聖母月であるこの5月、特にカトリック教会では世界中で「マリアポリ」の集会が行われる。キアラ・ルービックによって始まったフォコラーレ運動の精神は、「皆が一つになるように」というイエスさまの言葉を祈りと愛の実践によって証しすることにある。世界の平和と一致、その心を同じくする会員たちの集いを、これまた「マリアポリ」と言う。生前キアラ・ルービックが遺した次のような言葉がある。「ペンは自分が何を書くのか、鉛筆は自分が何を書くのか、彫刻刀は自分が何を彫るのかを知らない。神の道具は小さく弱いものです。神の御手の中で、私たちは苦しみと喜びを通して神様がお望みになる仕事にふさわしい道具となっていきます」と。
様々な試練と苦しみの中で神様が望んでおられる世界を描くために生きたマリアさま。その心はいつもイエスさまとつながっている。「皆がひとつになるように」。
今日のみことば:「わたしにつながっていなさい。わたしもあなたがたにつながっている。
あなたがたがわたしにつながっており、わたしの言葉があなたがたの内にいつもあるならば、望むものは何でも願いなさい。そうすればかなえられる。」(ヨハネ15・4,7)
ロシア侵攻前の美しい夜景のマリウポリの街

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